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ボデーとパネルの修正用語

ボデー修正とパネル修正は、右と左にはっきりと分けることは難しいが、やはり別のものとして考えた方がいい。ひと口に言って、ボデーの基準寸法に狂いが出ている場合の修正が<ボデー修正>で、基準寸法にあまり関係しない修正が<パネル修正>である。修正装置にセットするかしないかは、部位や程度によって変わるため、別の問題になる。外観から考えると、アウターパネルはパネル修正、インナーパネルはボデー修正という分け方もできなくはないが、クォーターパネルやロッカーパネルでは両方の可能性が考えられる。別の言い方をすれば、パネル表面の形を整えるのがパネル修正で、パネルの位置を修正するのがボデー修正と言ってもよい。どちらでもいいようなことかもしれないが、将来ボデー修正指数のようなものが出てきたときは、必要な作業がボデー修正なのか、パネル修正なのかを、しっかり区別する必要が生じるだろう。

【ア】 R(アール)  アライニング  位置決め用マーク  応力集中
【カ】 カゲタガネ  加工硬化  慣性  吸盤  クランプ  計測  計測基準位置  剛性  固定
【サ】 ジグ  絞り  スプーン  スライドハンマー  センタリングゲージ  塑性
【タ】 弾性  チェーンプラー  トラムゲージ  ドリー
【ハ】 反作用  ハンドフック  ハンマー  ハンマリング  引き作業  引出し板金  菱曲がり  フェンダーツール  プリングシステム  フレーム  ベクトル  ボデー修正装置  ボデー寸法図
【マ】 メジャー  モーメント  モノコックボデー
【ヤラワ】 油圧セット  ラーメン構造  ワッシャ溶植

R(アール)

曲面のこと。きついアールを<クラウン>ともいう。クラウン(王冠)のように盛り上がっているからだろう。へこみ状の曲面は<逆アール>で、板金修正が難しいところ。クラウンの逆は、やはり<逆クラウン>である。また、一般的にはカーブの大きさをRで表わすことが多い。高速道路の400Rとか1200Rというのは、コーナー円周の一部と考えた時、その半径が何メートルあるかを示している。

アライニング

ボデーの骨格構造の変形を修正し、交換パネルが取り付けられる状態まで復元する作業のこと。<粗出し>と呼ばれる作業と同じような内容だが、「粗」出しでは大雑把なイメージを与えるので、ボデーアライメント(ボデー寸法)を整えるというような意味で使われるようになった。従ってホイールアライメントの調整をアライニングと言うことはない。
保険会社との協定などで、アライニングの料金が問題にされることもある。現行の脱着取替指数が保険会社との間で協議されたとき、アライニングの概念はまだ充分にまとまっていなかったため、指数には採用されなかった。そのため「指数にないから」認められないとされることもある。指数にないから料金として認められないなら、パネル修正の板金も塗装も認められないことになる。料金の高い安いについては、やはり板金や塗装の料金と同様で、そのときそのときの事故車の状態に応じて、話し合いで決めていくべきことだろう。なお、外板板金と補修塗装に続いて骨格板金の指数も設定の準備が進められており、近い将来何らかの指数が提示されることが考えられる。

位置決め用マーク

溶接パネル取替の目安として、パネルの刻印されているマーク。片側のパネルに切欠きがあり、もう一方のパネルには突起が設けられているパターンや、2枚を重ねると穴が合うようになっているなど、いくつかの方法が用いられている。マーク用に設定されているわけではないが、溶接するパネル同士を結んでいるようなボルトオンの部品があれば、それも位置決め用に利用できる。例えばフードレッジとラジエーターサポートの間のテンションバーブラケットなどが、位置決め用に役立つ。
位置決め用マークは、すべての溶接パネルに設定されているわけではなく、メーカーや車種によっても必ずあるとは限らない。いずれにしても目安としての利用であり、正確にはきちんと計測して正しい位置に合わせることが必要だ。

応力集中

例えば金属に力を加えて曲げようとすると、それに反発して曲げられないようにする力が金属の中に生じる。これが<応力>である。文字通り応える力というところか。力を加えた相手がどこも同じ材質で同じ形状なら、応力はどの部分でも均一に生じる。穴があいていたり、急に曲がっている場所があったり、断面積が変化しているような所では、それらの部分に応力が集中し、大きな力がかかる。変形しやすくなるわけだ。これを利用しているのがモノコックボデーの衝撃吸収構造で、リインホースメントやメンバーに穴をあけたり、角度を変えたり、断面積を変化させて応力が集中するように設計し、事故などの衝撃を受けた場合、それらの部分が変形して衝撃を吸収するようになっている。逆に切り継ぎ溶接をした場合、その部分には応力が集中しやすくなる。従って、切り継ぎ位置を選ぶときは、応力の集中するコーナー部や面積の変化している場所は避けるべきである。

カゲタガネ

半円形で、直径の部分に刃があり、その反対側には手持ち用の取っ手が付いている。普通、タガネは金属を切断したり、重なり合ったパネルをはがすために用いられるが、カゲタガネはプレスラインなどの成形に用いる。刃の部分をプレスラインの裏側に当て、ハンマーで叩いてラインを打ち出す。

加工硬化

鋼板を変形させると、変形した部分は弾力を失うが、周囲に比べて硬くなる。これが加工硬化である。自動車の使われる鋼板は、そのままではペラペラの状態で、形を保たないが、プレスラインを入れたり、端をヘミング加工すると、しっかりしてパネルの形状を崩さない。これはラインやヘミング部が加工硬化によって硬くなり、全体を支える役目を果たすからだ。もちろん意識的な加工だけでなく、事故などで変形したパネルにも加工硬化が生じている。
通常、加工硬化は赤熱するまで加熱して、ゆっくり冷やしてやる(焼きなまし)ことで元の弾力性を取り戻すが、最近の車に多用されている高張力鋼板は、熱を加えることで性質が変化し、強度が落ちるものもある。その場合は板金作業で熱を加えることは禁物である。特にサイドメンバーやクロスメンバーなどの構造部材は、赤熱させてはいけない。

慣性

止まっている車は少しぐらいの力で押しても動き出さない。逆に一度動き出すと、小さな力でも押し続けることができるが、今度は止めようとするときに大きな力が必要となる。このように、世の中の物質はすべて、静止しているものは静止し続けようとし、動いているものは動き続けようとする性質を持っている。これが慣性で、重量の大きなものほどこの性質は大きくなる。重いものほど動きにくく、止めにくい訳だ。もし慣性がなければ、車はぶつかった瞬間にその場で静止し、ボデーが破損することもない。慣性があるからぶつかった後も車は前に進もうとし、車の運動エネルギーがボデーを損傷させる。
スペースシャトルのように、宇宙に出て地球の周りを回っていると無重力状態になるという。実は重力がなくなるわけではなく、重力と遠心力が釣り合って重さを感じないようになるだけだが、たとえ重さを感じなくても慣性は変わらない。重いものが浮かんでいても、それを押して動かすために必要な力は地上とあまり変わらない。

吸盤

原始的に思えるかもしれないが、ボデーショップでは結構活躍している。同じような構造だが、ガラスの脱着に使うのは<サクションカップ>、パネルの粗出しに使えば<バキュームプラー>となる。圧縮空気の流れを利用して、吸盤内の空気を強制的に吸い出すタイプもある。パネルの大きな範囲のへこみを、一気に引き出して後の作業を楽にしてくれるが、細かい技は効かないため、下手に扱うとかえって後がやりにくくなる。

クランプ

日本語に無理に訳すと万力?ではすこし大げさな気もするが、要するに何かを挟み付ける道具がクランプである。ボデーショップでよく使われるのは溶接用とボデー修正用で、単にクランプと言えばボデー修正用を指すことが多い。中でもボデーを固定するためにサイドシルのフランジに取り付けるクランプは<ボデークランプ>または固定用クランプと呼ばれる。また懐が深く汎用性の高いのが<Cクランプ>で、これはしゃこ万力とも呼ばれる。クランプをどこに付けてどの方向から引き出すのか。こうした一連の作業は<クランピング>である。また、はさみつけるわけではないから、クランプと言えないが、同じような役割に使うのが<プルフック>や<プルプレート>の仲間である。<フック>は文字通りパネルやメンバー類に引っかけて力を加える。プレートはストラット取り付け部などにボルトで固定して利用する。
ちゃんとしたクランプは、パネルをはさむ部分の刃がしっかりしていて、引き力を加えれば加えるほどパネルに食い込んでいくような構造になっている。だから取り付けるときは引く方向を考えなければいけない。これは特にアンダークランプの取り付け時に注意したい。
クランプで引き作業をする場合、引き方向は必ずパネルをはさんでいる刃の中心と一直線になっている必要がある。方向がずれているとモーメントが発生し、刃がずれたりおかしな向きに力が加わったりする。

計測

主にボデー修正作業で、ボデー各部の寸法が元通りになっているかどうか測ることを計測作業と呼んでいる。計測には各種のメジャーやゲージなども使うが、それらを組み合わせて客観的で正確な計測を実現するのが<計測システム>である。<メジャリングシステム>などとも呼ばれる。システムと言うからには、あらゆる場所が自由に測れることが前提だが、それ以外に誰が測っても同じ計測結果出るということも重要である。各種のジグや可動式のスタンドなどを使う計測システムもある。また人によって差の出やすい人間の目による見通しに代えて、レーザー光線を利用する計測装置もある。それらは<レーザー計測装置>と呼ばれる。さらに進んだ計測装置では、レーザー光線や超音波を発し、それらが反射して帰ってくる距離をコンピューターで計測する<コンピューター計測システム>もある。

計測基準位置

ボデーの寸法を計測するための基準になる場所のこと。フェンダーやドアヒンジなどの取り付けボルト穴、機能部品の取り付けボルト穴、フランジなどの切欠きや突起、パネルの合わせ目など、車種や部位によって様々な場所が用いられる。こうした場所以外にも計測用として<基準穴>や切欠きなどが設定されている場合もある。この種の穴は<ロケーション>穴とも呼ばれる。
計測基準位置は、例えば穴の場合はその中心なのか、縁なのか、パネルの合わせ目では、外側の端なのか中央部なのかなどを判断しなければいけないこともある。基準の取り方はメーカーによって少しずつ異なる場合もあり、寸法図の表記に注意したい。同じメーカーなら車種が違っても計測基準位置は共通している場合が多い。

剛性

特にはっきりした決まりのある言葉ではないが、もののしっかり感とか、力を加えたときの変形のしにくさなどの意味で使われる。材料そのものの強度ではなく、材料を加工して得られる強度というような意味でもある。例えば薄い紙は平面のままではペラペラで何も支えられないが、短冊状に折ってノコギリの歯のような形にすると、軽いものなら支えることができるようになる。折ることで紙の強度が上がったわけではないが、加工することでしっかり立てることもできる。これが剛性である。金属の場合は加工することで強度を増す加工硬化も効いてくる。自動車のボデーは、わずか0.6~1㎜程度の薄い鋼板で作られているが、人や荷物を乗せ、デコボコ道を速いスピードで走ることができる。これは鋼板を加工することによって剛性を高めているからである。最近の車では乗り心地や衝突安全性などの面から、高剛性ということが1種の宣伝文句となり、実際にもパネル構造や補強板の配置などで剛性を高めている。ボデー修正ではこの剛性の復元ということも考えに入れなければいけない。

固定

ボデー修正装置で引き作業を行なう場合、ボデー側をしっかり固定していないと充分な力が加えられない。普通はサイドシル下側のフランジの4カ所を<固定用クランプ>(ボデークランプ)で固定する。この4カ所は互いに連結されていて、引き作業で加えられる力を一体になって受けとめなければいけない。そのため初期の床式修正装置のように、固定用クランプをチェーンで床に結びつける場合は、連結棒を井桁上に組み合わせて補強していた。ベンチ式や台式の修正装置では、クランプと修正装置の距離が短いので井桁を省略することができる。サイドシル下側にフランジのない車では、サイドシル側面や上面のフランジを利用する。また、フランジの全くない車種、フレーム付き車、ワンボックス車などは一般的な固定が難しいが、多くは修正装置メーカーから専用のアタッチメントが市販されていて、それらを利用することになる。
固定部には、引き作業で加える力と同じだけの力が掛かる。従って、固定部の強度以上の力を加えることはできない。そこで大きな力を加える場合は、固定部を追加することもある。また部分的に力を加える場合、反対側が引っ張られないように追加する固定もある。これらの追加する固定が<補助固定>である。
引き作業の力は、固定した部分との間に働く。そのため、特定の範囲に力を加えたい場合も、固定を追加する。ジグ方式の修正装置では、修正の終了した部分を順に固定していき、修正が必要な部分にのみ力が加わるようにして作業するタイプがある。
<固定装置>とは、修正装置の固定に関係ある部分だけ抜き出して、商品としたものである。引き装置や計測装置は別に購入して組み合わせなければいけないが、軽補修中心の場合は、必要なものだけ購入して組み合わせられるので、低コストに抑えることができる。

ジグ

ジグとは治具のことで、本来は生産ラインなどで部品の位置決めに使用する。その意味で最もジグらしいのは、<ブランケットジグ>または<専用ジグ>と呼ばれるタイプで、車種ごとに用意されたジグアタッチメントを組み立てれば、各溶接パネルやサスペンションなどの部品の取け付け位置が示され、それに従ってパネル類を組み合わせることができる。<ユニバーサルジグ>は、1組のアタッチメントのセットであらゆる車の計測を可能にしたタイプである。組立の手間はやや複雑になるが、車種ごとの専用ジグアタッチメントを用意する必要はない。計測針がアンダーボデーの主要な部位を示すだけの<メジャリングジグ>と、部品などの取り付けボルトや基準穴などを利用してその部分を固定することのできる<ホールディングジグ>がある。
ジグは、単独でも計測に利用できるが、多くはボデー修正装置と組み合わせられている。ジグを組み立てるための台が<ジグベンチ>で、それに引き作業に使うタワーをセットしてあるのがベンチ式修正装置である。ベンチはキャスター付きで工場内を移動させることもできるが、リフトを取り付けて車の上げ下げが自由にできるようにして用いられることも多い。

絞り

金属の板は、打撃を受けると薄く広がって面積を増やす性質を持っている。これを展性と呼んでいる。鋼板も事故の衝撃や復元のためのハンマリングによって、面積が広がる。これが鋼板の<延び>である。そうした原因でパネルの一部が延びると、その部分がぶよぶよしたような状態になり、パテを塗ることさえできなくなる。なるべくパネルを延ばさないようにするのがハンマリングのポイントだが、延びを全くゼロにすることもできない。延びた鋼板を元の状態に戻してやるのが絞りである。
絞り作業では、まず延びた部分の中心をごくせまい範囲で酸素アセチレンのトーチを使って赤くなるまで加熱する。すると鋼板は柔らかくなると同時に熱によって体積も増えるが、周囲は冷えていて動かないため、柔らかくなっている部分に集まるように膨れてくる。その時点で急に冷やしてやると、体積は元通りに縮み、延びが解消される。これが昔から行なわれてきた<灸すえ法>である。この作業は手早く行なうのがコツで、のんびりしていると延びをなくすことはできない。
ワッシャ溶植機などを使った<電気絞り>は、初心者にとっても難しくはない。延びた部分に電極を押しつけてスイッチを入れると、その部分が一瞬で高温になり、離すと急速に温度が下がる。温度差が大きいため、特に冷やしてやる必要はない。また絞り専用の<エレキハンマー>も用いられる。これは電極につながった特殊なハンマーで、原理は電気絞りと同じ。延びた部分を渦巻きを描くようにハンマリングすることで延びを取り除くことができる。

スプーン

食事に使うスプーンをさらに引き伸ばして大きくしたような形状で、ハンマリングするとき、裏側が狭くてドリーを当てにくい場所に使う。働きはドリーと同じだが、スプーンだけ差し入れてこじるような使い方もある。パネルに当てる部分の形状によっていくつかの種類もあるが、そのバリエーションはドリーほども多くはない。

スライドハンマー

重りを前後に動かす反動でパネルに力を加える道具。パネルのへこみを外側から引き出すために使う。<デントプラー>とも呼ばれる。パネル側はスタッドピンを加えたり、ワッシャを引っかけたり、パネルにねじ込むなどのために交換式になっているものが多い。大きさは様々だが、もちろん大きいものほど大きな力を加えることができる。
スライドハンマーのパネル側の先を直接パネルに溶接して引っ張ることができるタイプもある。これらは<スタッドプラー>と呼ばれ、ワッシャやピンを溶接したり取り除いたりする手間を省くことができる。この種のスライドハンマーは、ワッシャ溶植機やスポット溶接機の電極を接続できるようになっている。

センタリングゲージ

アンダーボデーに吊り下げて、ボデーのセンターが狂っていないかどうか調べる計測用具。チェーン式と細い針金状のロッドを使うタイプがある。どちらもアンダーボデーの計測基準穴や作業穴にぶら下げるて計測する。目の高さを中央の重りの位置にして、重りの部分についているピンが前または後から見通す。ピンが一直線上に並んでいればセンターラインは狂っていない。左右にずれていると、ずれている部分のセンターが狂っていることになる。ただし目の位置や見方によって誤差が出やすいため、あくまでも目安程度の使用にとどめたい。また、左右が非対称の部分では使えない。

塑性

鋼板などに力を加えて変形させると、ある程度までは力を抜くと元の形に戻るが、一定の限度を超えて力を加えると、力を抜いても変形したままで元通りには戻らなくなる。こうした性質が塑性で、元に戻らないような変形を<塑性変形>と呼ぶ。これは素材の弾性限界を超えて力が加えられたためである。

弾性

鋼板などに力を加えて変形させると、ある程度の大きさまでは、力を抜くともとの形に勝手に戻る。これは鋼板に弾性があるからだ。弾力性と言い替えてもかまわないだろう。引き作業でボデーに加えていた力を抜くと、せっかく元通りの位置に戻っていたのがまた縮んでしまうことを<スプリングバック>などと呼んでいるが、これも鋼板の弾性が原因である。力を抜くと元に戻るような変形が<弾性変形>である。そしてこれ以上力を加えると、もう元に戻らなくなるような分岐点になる力の大きさが<弾性限界>となる。
大きな力を加えて、元に戻らないような変形(塑性変形)が生じても、弾性変形がなくなるわけではない。弾性変形は常に発生していて、曲がりすぎてちぎれてしまわない限り、変形させている力を抜くと、元通りではないにしろ、ある程度は元の形に戻ろうとする。その範囲はどんなに変形が大きくなっても弾性変形である。

チェーンプラー

ボデー修正の引き作業に使う道具。先にフックがついたチェーンを巻き込んで、力を加える。本体はラチェット式になっていて、ハンドルを前後に動かせばチェーンを巻き込んでいく。巻き取り、中立、緩めは切り替えレバーなどで変更することができる。チェーンの代わりにワイヤーを巻きとって引っ張るのが<ワイヤープラー>である。いずれも油圧ユニットのように大きな力を一度に掛けることはできないが、少しずつ何カ所かに力を分散して加えながら引き作業できるのが特徴である。

トラムゲージ

<トラッキングゲージ>、<トラムトラックゲージ>など、いろいろな呼び方をされるが、スライド式に伸び縮みする棒の両端に、計測用の指針が取り付けられた構造になっている。スライド部が3重になっていて計測針を3本持っているものもある。
スライド部は固定できるので、特定の長さに固定して、他の部分と比較するような使い方をする。例えばエンジンルームの対角線同士、左右のフロントフェンダー取り付け部などの長さの比較である。
スライド部にメジャーが取り付けられているタイプがよく用いられる。これだと測定針間の距離を直読して寸法図と比較できる。逆に寸法図の寸法に測定針を合わせておいて、実際のボデーの狂いを知ることもできる。
普通に使われるのは最大長が2メートル程度までだが、3メートル以上計測できるタイプもある。その種の大型は、ホイールベースを計測できるので<ホイールベースゲージ>とも呼ばれる。

ドリー

ハンマーと組み合わせてパネル修正作業に用いる。<当て盤>とも呼ばれる。通常はハンマーでパネルの表側を叩き、ドリーはパネルの裏側に当てる。ドリーだけで裏側からパネルをたたき出すテクニックもある。
様々なパネル形状、平面や曲面、曲面の大きさなどに合わせて使うため、取りには形状の異なる種類が数多くある。比較的万能に使える金梃子型の<ユーティリティドリー>、最もよく使われている標準的な<トウドリー>、鼓の形になった<ラウンドドリー>などが代表的な形状である。

反作用

物体に力を加えると、同じ大きさで向きだけが反対の力が生じる。これが反作用である。ロケットやジェット機は、ガスを後ろに噴き出して、その反作用で前に進む。摩擦の少ない場所で重いものを押そうとしても、うまく力は伝わらない。これも反作用のせいである。ボデーを固定して力を加える場合、固定した場所には反作用によって引き作業と同じ大きさの力が加わる。固定部分がしっかりしていないと、いくら大きな力を掛けても修正する力にはならず、むしろ固定部分を破壊するように働く。

ハンドフック

手の力だけでパネルを引き出す道具。グリップに先がフック状になった細長いロッドが取り付けられていて、フック部をワッシャやパネルの穴に引っかけて使う。手の力だけなので大きな力を加えることはできないが、ゆっくりと少しずつ力を加えたり、左手で引っ張りながら、右手でハンマーを使うなど、用途は色々あって便利な小道具である。

ハンマー

板金と言えばハンマー、ハンマーと言えば板金。ハンマーは自動車板金の象徴とも言える。昔の板金職人は、ハンマーとドリーだけでどんなパネルも打ち出していた。単にへこみを修理するだけでなく、1枚の平らな鋼板から、パネル1枚作り出すことさえあった。そんな技術も今では受け継ぐ人は少なくなっている。1万円の交換パネルを半日かけて修理していたのでは、採算が合わないからだ。しかし、そうは言ってもハンマーの出番はまだまだ少なくない。引出し板金でもハンマーなしではできないし、ボデー修正でもハンマーは欠かせない。
ハンマーの種類はかなり多いが、日常の板金作業で使うハンマーは限られてくる。まず主役は<ならしハンマー>。パネルを修正するためのハンマーで、タガネを叩いたり、釘を打つなど他の目的に使ってはいけない。頭部は片面が丸い打面、反対側が細長い打面のものがよく使われる。打面は常に平らで、傷や汚れがあってはいけない。毎日欠かさず手入れし、ていねいに扱いたい。<ピックハンマー>は、一方の打面が鋭く尖っているハンマー。ごく小さな点のようなへこみを、裏から一発で打ち出す、などの目的で使う。<シュリンキングハンマー>は<絞りハンマー>とも言う。表面が細かいデコボコになっていて、伸びたパネルを絞るときに使う。伸びた部分の中心を赤熱し、真ん中に寄せ集めるように叩いて絞るわけだが、ひとつ間違えると逆にパネルをデコボコにするため、このハンマーを使う人は少ない。木製やプラスチック製のハンマーは、塗装に傷を付けることなくハンマリングしたいときには便利。引出し板金の時にも活躍する。
タガネやドライバーのお尻を叩くには、そんな目的専用の片手ハンマーを用意しておく。両手でもって使う大ハンマーも、あまり大きなものは使いものにならないが、片手で持てる程度の大きさなら、ボデー修正などでは使い道がある。

ハンマリング

ハンマーでパネルを修正する作業またはハンマーを使うことそのものをこう呼ぶ。
ハンマーは腕ではなく手首で振るともいわれる。力まかせに打ちつけるのではなく、手首のスナップを利かせて、均一な力で安定してパネルを打つ、というよりも、頭の重みを利用して当てる、という感じが大切である。ハンマーの頭がパネルに当たる角度も、常に直角でないと余分な傷が入ったり、必要以上に鋼板を延ばしたりするはずだ。
ハンマリングのテクニックは、ドリーとの組み合わせで表現される。<オンドリー>またはハンマーオンドリーは、パネルの裏側に当てたドリーの真上をハンマーで打つ方法。鋭角的なきつい変形の修正に適しているが、パネルを延ばしやすい。<オフドリー>またはハンマーオフドリーは、ドリーとハンマーの当たる位置をずらす方法。緩やかな変形を少しずつなおしたいときに用いる。
<スプリングハンマリング>は、ドリーを押さえる力をやや弱くし(握りはしっかりと)、ハンマーが当たった反動で、自然にドリーが浮いて、すぐにまたパネルに打ちつけるようにするテクニックである。表裏両側から力を加えてパネルを修正する方法である。

引き作業

主にボデー修正の時に、クランプなどをパネルに取り付け、油圧ユニットやチェーンプラーなどで力を加える作業のことである。ボデー修正作業そのものをこう呼ぶ場合もある。また、修正作業では引っ張るだけでなく押す方向に力を加えることもあるが、それもひっくるめてこう呼ばれることがある。
引き作業にはタワーや油圧ユニット、チェーンプラーなどが使われる。修正装置によって使える場合と使えない場合もあるが、いくつも組み合わせて多点同時引きをするのが基本である。また、引き方向はパネルの延長線上とし、斜め方向からの力は、少なくとも慣れない間は使わない方がいい。力が効果的に伝わらないからだ。
ひと口に<タワー>といっても、台式修正装置では、内部に油圧ユニットが組み込まれていて、その力でチェーンを引き込む。ベンチ式ではタワーそのものが油圧で移動し(倒れるなど)、タワーに取り付けたチェーンを引っ張る。床式ではチェーンプラーの足場になったり、内部に油圧ユニットを組み込んだものがある。
床式や一部の台式で用いられる油圧の押しラムとチェーンを組み合わせて引く方法は<ベクトル引き>と呼ばれることもある。

引出し板金

へこんだパネルを外側から引き方向の力を加えて修正するのが引出し板金である。裏側に手の入らない構造になっているパネルやトリム類を脱着しないでも作業できる。技術的にはハンマリングより修得が早く、パネルの延びも少なくて済むので、初心者にも適している。
引出し板金では、パネルに引き出しの足がかりになるものが必要だが、そのためにはスタッドピンやワッシャを溶植したり、薄板を直接溶接するなどの方法が用いられる。引き出すための力はスライドハンマーや、場合によっては油圧ユニットやチェーンプラーが用いられる。現在ではハンマリングでパネルを完全に修正する技術を持つ人は少なくなり、外側から引出して最終的にはパテで面を出す方法が中心になっている。

菱曲がり

フレームの片側が前か後ろにずれて、全体が平行四辺形になったような変形のこと。ラダーフレームやペリメータフレームなどの別体式フレームでは生じるが、モノコックボデーでは起きない。たいていは上下や左右方向の変形と一緒に生じていて、うっかりすると見逃しやすい変形である。しかし従来のセンタリングゲージではわかりにくかったが、ジグ式の計測装置では、見逃すことはないはずだ。

フェンダーツール

パネルの修正といえば、フロントやリヤのフェンダーが最も可能性が高いようだ。フェンダーはパネル修正の代表ともいえるだろう。そのため、パネル修正用の道具類、ハンマーやドリー、スプーンなどをまとめてフェンダーツールと呼ぶことがある。これらの道具をセットして箱にまとめたものがフェンダーツールセットである。

プリングシステム

特定の工具や設備を指す名称ではないが、一般的には床式修正装置の簡易なものを指してこう呼ばれる。アンカープレート数枚とチェーンプラーなどの支えになるポール類などが主な構成内容である。ボデーの骨格部分の寸法に大きな狂いがないような事故車の修理に用いるが、本格的な修正装置を導入するまでのつなぎ的な役割が多い。必要なアタッチメント類を買い加えることで、それに応じた大きな損傷も修理できるようになる。

フレーム

建築物でも乗り物でも、何らかの骨組みがなければ役に立たないことは想像がつくだろう。車が鉄製のパネルでできているといっても、1㎜以下の薄板が大部分である。
初期の車はその構造を馬車から受け継いでいて、ベースとなるしっかりしたフレーム上に、乗員やエンジンを被うカバーとしての外板が組み付けられていた。この構造では、乗員やエンジンの重量、走行中に受ける力のほとんどはフレームが受け持つ。外板は雨よけ、風よけ程度の役割である。フレームの材質は、初期の頃は木材、後に鋼材が使われるようになった。このようにフレームを外板がはっきり分かれていて、それぞれの役割を分担しているタイプを<セパレートフレーム>または<別体式フレーム>と呼ぶ。これに対して溶接されたパネルの組み合わせ全体で力を受けとめるのがモノコックフレームである。単にフレームと言った場合、別体式フレームを指すことが多い。
フレームはその形状によっていくつかの種類に分けられる。まず最も基本的なタイプは<ラダーフレーム>で、これは<はしご型フレーム>とも呼ばれるように、左右2本のメンバーの間にクロスメンバーを渡した文字通りハシゴのような形をしている。構造が簡単で頑丈なため、大型中型のトラックは現在でも大部分がこの構造のフレームを採用している。ジープタイプの4WD車も多くはこれである。ラダーフレームから派生したのが<ペリメータフレーム>で、ラダーフレームの乗員室に当たる部分の幅を広げ、その間のクロスメンバーをなくした構造になっている。乗員室を広く、低くするためだ。トヨタクラウンの140系以前や一部の大型米車など、主に乗用車に採用されている。
<X形フレーム>は、ラダーフレームの中央部をペリメータフレームとは逆にセンターに絞り込んだ構造になっている。絞った部分をセンタートンネルの中に入れ、乗員はその左右に分かれて低く座ることになる。<バックボーンフレーム>は量産向きではないが、強度とスペース、重量などの関係が優れているため、少量生産のスポーツカーなどに利用されている。ボデーのセンターラインに強度の高いパイプや角材を持ち、これが車にかかる力の大部分を支えている。前後は二股に分かれていてサスペンションが付く。
<プラットホームフレーム>とは、フロアパネルが単独で力を受けるような構造である。モノコックフレームと似ているが、エンジンやサスペンションはフロアパネルに取り付けられ、フロアパネルだけで走行可能な点が大きな違いである。
<スペースフレーム>は、2輪車のようにパイプを組み合わせて構成されたフレームで、パイプフレームとも呼ばれていた。昔のレースカーやスポーツカーに多かったが、現在のそれらの車は乗員部がモノコック構造になり、エンジンとリヤサスペンションの部分がスペースフレームになっている。また、新しいタイプのスペースフレームも登場している。これはパイプではなく閉断面構造の角材が用いられ、ちょうどモノコックボデーのパネル部分を除いたような構造で、鳥かごのように骨組みだけで全体を包んでいるため、バードケージフレームとも呼ばれる。開口部の大きなミニバン系の車種やスポーツカーに用いられ、力を受けない外板は、アルミやプラスチックで組み立てられているものが多い。

ベクトル

力や速度のように、方向と大きさのふたつの成分を持つ作用をベクトルと呼んでいる。ベクトルは矢印によって表現することができる。矢印の向きが方向で、長さが大きさを表わしている。この方法を用いると、2つ以上のベクトルを合成したり分散するとどうなるかが簡単にわかる。例えば車のフロントのコーナー部に加わった力は、平面的に考えるとフードレッジとラジエーターサポートに分かれて伝わる。ぶつかった角度がわかれば、どちらにどのぐらいの力が加わったのかを知ることができる。

ボデー修正装置

元々は<フレーム修正装置>と呼ばれていたが、現在のモノコック構造のフレームでは、フレーム=ボデーなので呼び方も変わってきた。単に<修正装置>とか<修正システム>と言った場合も同じ意味である。
<フロア式修正装置>または<床式修正装置>は、車や引き作業、計測などの道具の固定を、工場床面に埋め込んだレールやアンカーで行なう。修正作業ごとに組み立てなければいけないが、逆に使わないときは邪魔になるものがなく、他の作業を行なうこともできる。また必要に応じて機具を買い足しながら能力を上げていくこともできるので、初期投資を安く抑えることもできる。引き方向や引き作業の位置と数の自由度も大きい。
<ベンチ式修正装置>は計測のためのジグをセットする台(ジグベンチ)に、車を固定する装置と引き作業の道具もセットできるようにした構造で、分解してしまい込んでしまうこともできるが、日本ではリフトと組み合わせて固定した状態で設置されていることが多い。リフトと組み合わせてあれば、修正作業中でも自由に車を上下でき、リフトなしなら、セットしたままの状態で工場内を移動させることもできる。ベンチに引き道具を取り付けて使う関係上、引き方向と点数には制約がある。引き道具のセットをやり直せば方向は自由だが、同時に引ける点数、つまりセットできる引き道具(タワー)の数は、普通は1本が2本である。
<台式修正装置>は、車を乗り入れできる走路状の頑丈な2枚の鋼板を左右に連結した構造で、昔の<ラック式修正装置>と同じである。違いは、引き作業の道具(タワー)も2~4本作りつけになっていて、台の周囲を移動できるため、引き作業の自由度は比較的大きくなっている。作業中の台は床から1m程度の高さになり、車を乗り入れるときは、台そのものが上下する、全体が傾斜して乗り入れ部が下がる(チルト式)、リフトで持ち上げる、などの方法が機種によってとられる。1度据え付けてしまえば簡単には移動できない。
<ドーザー>とは1種の簡易式修正装置で、ベンチ式修正装置のタワーに車を固定するアームをくっつけたような構造だ。かさばらす、移動しやすいが、1点しか引けず、引き方向も制約がある。現在ではあまり使われていない。なおこの言葉は元々は製品名で、移動式簡易修正機などと言い替えるべきだろうが、あまり一般的ではない。

ボデー寸法図

新車のボデー各部の寸法を掲載した図面。単に<寸法図>とか<ボデーチャート>などとも呼ばれる。衝突事故などでボデーが変形した場合、その変形量はボデー各部に設定された基準位置のズレとして考えることができる。このズレは前後方向、左右方向、高さ方向の3方向で、それぞれの方向で新車時の位置に戻れば、修正作業は完成したことになる。ただし、基準位置ごとに3種類の数字を扱うのは非常に煩雑になるため、これを2点間の距離に置き換えて、ボデー寸法として表示されている。本来、車のボデーは、時計やエンジンの内部のような精密機器ではない。また大量に生産する都合上、誤差の範囲はあまり小さくできない。そのため、足回り部品がきちんと取り付けられて、パネル取り付け部のボルトの移動できる範囲内で建付け合わせができれば、ほとんど問題はなかった。しかし、アライメント調整のあまりできないサスペンションが増え、パネルのすき間の僅少化や走行性確保のための精密なアライメント設定など条件が加わり、それに伴って生産技術も向上したため、部位によっても異なるが、ボデー寸法上の許容誤差は小さくなっている。より精密の寸法合わせが必要になったわけだ。
カーメーカーの製作する寸法図は、図面上から計算で求められる数値と実際にその車を計測して求められた数値が組み合わされている。この区別は公表されていないが、図面上と実車では、生産時の小変更などで希に違いが生じている場合もある。また、ボデーショップで計測する道具も、それほど精度の高いものではないため、最終的には作業者の技術によって処理される部分も残っている。
寸法図の数値の表記方法には2種類あり、区別して読み取らないと正確な寸法は計測できない。まず<直線距離寸法図>は、文字通り計測基準点同士を直線的に結んだ距離で、トラムゲージなどのメジャー類で大部分は計測可能である。エンジンルームやキャビンなどのアッパーボデーは直線距離寸法で表示されていて、アンダーボデーについてはメーカーによって異なる。<平面投影寸法図>は、ボデーと平行に一定の距離を持った仮の平面(仮想平面)にボデーの影を映し、その平面上で計測した寸法である。この数値は計測基準位置の高さ、左右、前後の3方向の寸法を示したものである。主にアンダーボデーがこの方式で表示されていて、トラムゲージやメジャー類では正確な計測は難しい。計測平面を設定できる計測システムが必要となる。一般に同じ部位同士の比較では、平面投影寸法の方が直線距離より短くなる。
ボデー寸法図は、カーメーカーが新車の発売ごとに作成し、車種ごとまたは自社の分をまとめて販売している。それらをさらにまとめた形の全メーカーに対応できる寸法図も販売されている。

メジャー

広い意味では定規や物差しなどもそうだが、多くは巻き尺のことをこう呼ぶ。少し専門的に言い替えれば<コンベックス>である。様々な計測システムが市販され、多くのボデーショップで使用されているが、巻き尺の役割もまだまだ捨てたものじゃない。ボデー修正作業中には、ポケットに忍ばせている人も多い。巻き尺の先のL字型の部分を細く削っておけば、ボルト穴などに引っかけて測れるので扱いやすくなる。その部分をトラムゲージの計測針状に加工した製品もある。ただしいずれにしても正確な計測は期待できないので、目安程度に使うのがいいだろう。

モーメント

どんなものにも、そのものの重さが1点に集まっている考えてよい点、重心がある。何かに力を加えた場合、その力の方向の延長線が重心を通っていればいいが、そうでない場合は、加えた力が相手を回転させるように働く。この回転させる力がモーメントである。机の上の鉛筆の端を弾くと、まっすぐに弾いたつもりでも鉛筆はその場で回転する。これもモーメントの働きである。
引き作業の時はモーメントの発生に注意したい。例えばフロントボデーの前の端を右方向に引くとすると、固定した部分を中心にフロントボデー全体が右へ回転するような方向で力が加わる。従って、モーメントを打ち消すためには、フロントボデーの反対側を反対方向、つまり左側に固定しておくことが必要になる。

モノコックボデー

独立したフレームを持たず、溶接されたパネル全体で、エンジンや乗員、積載物の重量や走行中に受ける力を支える構造のこと。卵や航空機などが代表的なモノコック構造である。車のモノコックボデーには、トランクやドア、エンジンルームなど、開口部が多くあり、正確な意味でのモノコック構造ではなく、モノコックと<ラーメン構造>を組み合わせた形になっている。海外では<フレームレスボデー>とか<ユニタイズドボデー>とか<ユニットコンストラクション>と呼ばれる。いずれも「フレームがない」とか「フレームとボデーが一体になった構造」というような意味で、車のモノコックボデーの実体を表わしている。<ストレスドスキンコンストラクション>という言葉もあるが、これは日本語にすれば外皮応力構造、つまり外板が力を受けとめる構造という意味で、これは正統的なモノコック構造のことである。

油圧セット

油圧を利用すれば、人間の手や足では出せないような大きな力を発揮することができる。自動車のブレーキやパワーステアリングも油圧を利用して大きな力を出している。油圧を発生させるポンプと、いくつかの種類の異なるラム、接続用アタッチメントなどを組み合わせたのがパネル修正用の油圧セットである。一般に<ポートパワー>とも呼ばれるが、これは製品名からきている。
<油圧ポンプ>は、力の元になる油圧を生み出す。油圧といっても、エンジンオイルやサラダオイルのような「油」ではなく、もっと粘度の低い(さらっとした)液体が利用されているが、習慣的に「油圧」と呼ばれる。この「油」(実は液体)に力を加える方法には、手動式とエア式がある。手動式はハンドルを手で上下させることで液体を送り出し、エア式ではエアモーターが利用される。より大きな力、大きなストロークはエア式の方が当然優れていて、ボデー修正ではエア式が用いられる。パネル修正では手動式でもそれほど不便はない。
ポンプで圧力を加えられた「油」は<油圧ラム>に送られて力に変わる。標準的な油圧ラムは、油圧を送られると全長が伸びる構造になっている。伸びる部分に延長棒(エキステンションパイプ)をつなげば、元々の長さは自由に変えることができる。両側のはしにゴムのキャップを付ければ、押しつぶされていたパネルとパネルの間を広げたり、外へ押し出したりすることができる。また、両端にパネルをつかめるようなアタッチメントを付ければ、縮んでしまったパネルを引き伸ばすこともできる。<押しラム>、<引きラム>などと呼ばれるが、これは使い方によって区別されるだけで、ラムそのものは同じようなものである。それ以外には<ウェッジラム>がある。これは先がクサビ形になっていて、油圧を加えるとクサビが開く方向に力が発揮される。ごくせまい状態に潰されたパネルを押し広げるなどに用いられるが、パネル修正ではあまり出番はない。

ラーメン構造

建造物の構造の1種で、お互いに固定された鉄骨などを垂直に組み合わせて作る構造のことである。積み木で作ったビルのような形で、ビルの骨組みによくある。車のボデーはモノコック構造とラーメン構造の組み合わせとされている。ボデーの後半部はダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、クォーターパネルリヤエンドパネルなどに囲まれ、モノコック構造に近い。しかし前半部はサイドメンバーやクロスメンバー、フロントピラーなどで構成されるラーメン構造である。
よく似た形で<トラス構造>がある。これは鋼材などを互いに自由に回転できるように組み合わせ、三角形を連ねたような形になる構造である。鉄橋などでよく見かける。

ワッシャ溶植

引出し板金の足がかりとして、ワッシャやピンをパネル上に溶接することである。ワッシャはもちろんあり合わせのものではなく、専用のものを利用する。細長い棒状の<スタッドピン>を使う方法は<スタッド溶植>または<ピン溶植>と呼ばれる。ワッシャとスタッドピンの比較では、ワッシャはフック状の金具なら、なんでも引っかけて引くことができる、外すときもねじって簡単に外れる、連続して植えたワッシャに棒などを通せば、ひとまとめに広い範囲に力を加えることができる、などの長所があり、比較的安価であるというスタッドピンよりも広く使われている。
ワッシャやピンの溶植は、スポット溶接と同じで、ごくせまい範囲に大きな電流を流すことで、その時の抵抗が熱になって溶接する。スポット溶接よりも電流は小さく、パネル側は溶かさずに、ワッシャやピン側を溶かして溶接している。そのため溶植のための道具は、専用機もあるが、スポット溶接機の機能のひとつとして盛り込まれている例が多い。 一般的なワッシャやピンの他、引き道具に合わせた特殊なプレート形状のもの、1度に何カ所も引き出しできる波形のワイヤー、狭い場所に使いやすいひねりを加えたプレート形状など、種類もいくつかあり、スライドハンマーそのものの先が溶接できる用になっているタイプもある。

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