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溶接と脱着取替の用語

自動車の部品やパネル類は、ボルトナット、ビス(スクリュー)、ファスナー(クリップ)、リベット、溶接、接着の6種類の接合方法によって組み付けられている。それぞれの接合方法には、長所短所があり、部位や構造面での必要性に応じて使い分けられている。脱着や取替の意味は、保険の見積り上ではきちんと区別して考えられる。その場合、脱着とは一般にASSYで取り外し、そのまま元通りに組み付けることで、取替になると付属品の分解と組み替えも含まれる。ボルトやスクリューなどで組み立てられている部品では、脱着と取替の両方の可能性を持つが、溶接や接着された部品では、ほぼ取替だけになる。
ボルトナットやビスで組み立てられている部品やパネルの脱着取替では、レンチやドライバーなどのハンドツールの使用が中心になる。しかし作業の能率を考えると、インパクトレンチやエアラチェットなどのエアツールももっと使うべきだろう。内装トリムやモールに使われているファスナー類は、手または専用のツールで外す。リベットは一部の車種のモールの取り付けに利用されている程度だが、これは専用の道具が必要である。
骨格系のボデーパネルは溶接によって組み立てられている。溶接は他の接合方法のように簡単な手工具だけではどうにもならない。そのための道具とある程度の技術が求められる。接着は、内装関係の小物を除けばそれだけでパネルや部品を固定している例は少ない。ただし溶接の補助に用いられる例は増えているので、無視することはできなくなっている。

【ア】 アークブレージング  アーク溶接  粗切り  アルゴン  位置決め  インパクトレンチ  エアカッター  エアラチェットレンチ
【カ】 ガス溶接  カット工法  金切りハサミ  仮止め  ガラスナイフ  切継ぎ交換  組付け  クランプ  クリップ
【サ】 シーケンシャル制御  シーラー  使用率  スポットカッター  スポットドリル  スポット溶接  接合
【タ】 タガネ  建付け調整  チップカッター  TIG(ティグ)溶接  トーチ  ドライバー  ドリル  トルクレンチ
【ハ】 パッチ当て  ハンダ  パンチングツール  ハンドツール  ピッチ  プラズマカッター  フランジ  ヘミングツール
【マ】 ミグ溶接  メタライジング
【ヤラワ】 溶接  溶接ガン  リベット  レンチ

アークブレージング

ミグ溶接によるロー付けと考えても良い。クォーターパネルやルーフなどの端は、隣のパネルとの間に段差が生じるので、新車ラインでもロー付けで処理されていた。この工程を合理化すると共に、防錆や仕上がりの均一を図るために採用されたのがアークブレージングである。断続的なパルス電源を使用し、ワイヤーはろう材、アルゴンガスでシールドしながら「ロー付け」を行なう。熱の発生が押さえられ、パネルをひずませることも少ない。

アーク溶接

空気は、基本的には電気を通さない絶縁体だが、電圧と距離の関係によっては、無理矢理空気中を電気が流れる。このとき音・熱・光を発生し、これを<アーク放電>と呼ぶ。そしてその時の熱を利用して金属を溶かし、溶接するのがアーク溶接であり、そうした仕組みを持つ溶接機が、<アーク溶接機>である。アーク溶接機の電源は、小型のもので交流100V、一般的には交流200Vが利用され、トランスで電圧を落として使用する。
<交流アーク溶接機>は、電源からの交流を変圧するだけで利用する溶接機。電圧のかかったクランプで溶接棒をつかみ、溶接棒と溶接する金属の間にアークの火花を飛ばして溶接する。常時アーク火花が発生しており、温度も高くなるため、厚めの鋼板の溶接に利用される。
<直流アーク溶接機>は、電源の交流を変圧し、直流に変えてから利用する溶接機で、主にミグ溶接機として利用される。

粗切り

溶接パネルの交換で、損傷したパネルを取り外すとき、あらかじめパネルの溶接部以外を切り取ってしまったほうが後の作業が早くなる。スポット溶接されたフランジ部分だけを残すわけだ。また、隣り合った溶接パネルを2枚とも取り替える場合は、その2枚を溶接している部分は外す必要がないので、つながったままで切り取ってしまえば作業はやはり早くなる。こうした作業を粗切りと呼ぶ。切り口はきれいでなくてもいいため、作業速度の速いチゼラーやガス溶接機で焼き切ったりする。この作業で気を付けなければいけないことは、必要以上に切りすぎない、つまり内側や周辺のパネルにキズを付けないことは当然として、やはり内側にあって分かりにくい配線や配管を一緒に切ってしまわないこと。交換頻度の高いクォーターパネルのリヤピラー部には、そんなケースがよくあるため、慣れない車では整備資料を確認して作業したい。

アルゴン

非常に不活性な、つまり他の物質とほとんど反応しない性質を持つ元素で、記号はAr。常温ではガス(気体)となっている。たとえば酸素は鉄と結びついて錆になったり、水素と反応して水になったりするが、アルゴンはほとんどそうした反応は起こさない。そのため余分なものを遮断するシールドガスとしての効果を持つ。溶接作業では、当然溶接部とその周辺は高温になり、溶けた金属からガスが発生して錆を生んだり、強度に問題が出るような不純物が誕生する。そこで溶接部全体を不活性なアルゴンガスでとりまいてやれば、他の物質と反応しないでそんな心配も少なくなる。ミグ溶接のシールドガスとしてアルゴンが使用されるのは、そのためである。アルゴンでシールドする溶接方法は<アルゴン溶接>とも呼ばれる。溶接だけでなく、切断の時にも効果があるのは同じことで、その場合は<アルゴンアーク切断>となる。一般のボデーショップでは、高価なアルゴンの代わりの炭酸ガス(CO2)をシールドガスに使用するが、効果は鋼板に限られており、アルミやステンレスを溶接する場合は、アルゴンを使わなくてはいけない。

位置決め

いくつかの意味で使われるが、ボデーショップではパネルの取り付け位置を決定する場合に用いられることが多い。ラジエーターサポートやフードレッジのように交換頻度の高い溶接パネルでは、隣のパネルとの合わせ目に穴や突起があって、これで位置関係を決めることができる。生産ラインでの必要によって設定されているものも多いが、車体整備用の場合もある。基準穴とかロケーションホールとか呼ばれるのはこの仲間である。
サスペンションではホイールの位置決めが大切である。ホイールが上下したとき、設計者の意図通りにホイールアライメントが変化するよう、アッパーアームやトーコントロールリンク、トレーリングリンクなど各社各車種で様々な位置決め用の「腕」が働いている。

インパクトレンチ

ボルトやナットに打撃力を加えながら締め緩めする工具。堅く締まっているボルトでも短時間で緩めることができる。エア式が主流だが、電動式もある。本体とボルトナットのサイズに合わせて選ぶ、取り替え式のソケットから構成される。ソケットは、内面がボルトとぴったり合うインパクトレンチ専用の六角形状のもので、もちろん回転方向を正逆に切り替えられる他、締め付けトルクの制限も行なえる。大きさや能力はソケットの取り付け角(シャンク角)で表わされ、大小いくつかの種類もあるが、ボデーショップ使われるのは取り付け角が1/2インチ(12.7㎜)と3/8インチ(9.5㎜)の2種類である。この内1/2はホイールナットの締め緩めとボデー修正用クランプの脱着に利用し、3/8の方は部品の脱着に使う。大型車の整備では1インチ(25.4㎜)のインパクトが必要になる場合もある。使用上では、強力な締め緩め力を発揮するので、ソケットはもちろん、エキステンションやユニバーサルジョイントなどのアダプターもインパクトレンチ用を使う、アルミホールのナットには原則として使わない、などを注意する。

エアカッター

圧縮空気を動力源とするパネル切断工具には、ノコギリ形のエアソー、ハサミ形のエアシェア、厚歯のついたエアニブラー、タガネ形のエアチゼラーなどがある。それぞれに長所短所があり、ひとつだけであらゆる切断作業をカバーできるという具合にはいかない。
<エアソー>はノコギリの歯が往復運動することでパネルを切断する。高速タイプと低速タイプがあり、高速タイプは切れもよく、曲線なども自由だが、歯の寿命が短い。低速タイプは切断速度が遅い。切り口は比較的きれいで、切りしろもあまり必要ない。切断できるパネル厚にあまり制限がなく、袋構造になっていても表側だけ切断できる。比較的使用範囲が広い道具である。
<エアシェア>、<エアニブラー>は、ボデーショップではあまり使われない。シェアは金切りハサミの動力版で、曲線もきれいに切れるが、切断するパネルの厚みには限界があり、切り口にはややひずみが出る。ニブラーは特殊な形状の歯を押しつけながら切断するため、幅2~3㎜の切りしろが必要になる。切り口はきれいで曲線も楽に切れるなどの特徴を持つ。
<エアチゼラー>は、タガネをハンマーでたたきながらパネルを切断するのと同じ。猛烈な騒音を出し、切り口にはかなりひずみが出るが、外板パネル程度なら切断速度も速く、歯の寿命も長い、扱いが簡単などの理由で、主にパネルの粗切りによく利用される。チゼラーによる作業の時は耳栓が必需品である。

エアラチェットレンチ

ラチェットレンチをエア駆動にしたもの。<パワーラチェット>とも呼ばれる。長いボルトも短時間で締め緩めできるし、インパクトレンチに比べると小型軽量で扱いやすい。ただし締め付け力は弱いので、緩めはじめや最後の締め付けは手の力で補う必要がある。
サイズはソケットの取付け角で区別され、1/2、3/8、1/4の3種類だが、3/8がもっとも多く利用される。アタッチメントやソケット類はハンドツールのラチェットレンチと共用できるので、経済的でもある。ソケット部が貫通していて長いボルトの奥のナットを締め緩めできるようになった片口のメガネタイプもある。

ガス溶接

正式に表現するなら<酸素アセチレンガス溶接>。長ったらしいので、普通はガス溶接とか<酸素溶接>などと呼ばれている。
ボデーショップには欠かせない道具のひとつである。ひと昔前、まだボデーショップを開業するのに設備も何も要らなかった頃、スプレーガンとコンプレッサー、ハンマーとガス溶接機があれば店開きできるとされていた。それぐらい基本的な道具である。ただし、スプレーガンとコンプレッサーは相変わらずボデーショップの第1線で活躍しているが、ハンマーとガス溶接機はどちらかというと日陰者になりつつある。引き出し板金やミグ・スポット溶接機という新参者が大きな顔をするようになってきたからだ。しかし今でも、どちらもなくてはならない道具であることに変わりはない。
電気を使う溶接機が登場する前は、溶接といえばガス溶接のことだった。歴史も古く、現在でもボデーショップに限らず、様々な金属加工の分野で使われている。原理的には、酸素とアセチレンガスを1対1で混合し、点火すると約3,200℃の高温で燃焼する。この熱で金属を溶かし、つなぎあわせるわけだ。混合率や炎の大きさは、使う人の勘で調整する。どんな金属を溶接するか、溶接する厚みは、スピードは…など、扱う人の技量に任される範囲が広く、熟練しないとうまく溶接できない。特に自動車のような薄いパネルでは、周囲に熱が伝わって変形したり、あとで錆が出やすいなど、問題も多く、現在ではパネル交換の溶接には使わないことになっている。ではボデーショップで何に使っているかと言えば、まずパネルの切断、塗膜はがしなどである。それぞれに適した工具もあるが、慣れた人ならガス溶接機の方が簡単に汎用的に使えるため、手放せないようだ。またパネルとパネルの段差を埋めるロー付けや板金したパネルの絞りなどは、とって代われるような道具があまりないため、ガス溶接機の働きは大きい。
器具の構成は単純で、酸素ボンベとガスの流量を調整するレギュレーター、アセチレンボンベと同じくレギュレーターがあり、それぞれのボンベから溶接トーチまで、ホースでガスが送られる。溶接トーチには溶接用(実は塗膜はがしやロー付け用)と切断用の区別があり、ホースの接続口は、エアチャックのようなソケットで接続したり切り放したりできる。酸素とアセチレンを取り違えると非常に危険なため、ボンベのコックは酸素が右ネジ、アセチレンが左ネジと区別され、さらに周辺機器も酸素用が緑色、アセチレン用が赤色に塗られている。
酸素とアセチレンの混合は1対1が基本だが、溶接する素材や目的によってその割合を変える場合がある。1対1の混合では、炎は<中性炎>になり、酸素の量を多くすると炎の中の白心が短く紫がかった色の<酸性炎>、アセチレンを多くすれば、柔らかい感じの<炭化炎>となる。切断作業では中性からやや酸性の状態、ロー付けでは炭化炎にして作業する。
なお<アセチレン>は炭素と水素の化合物で、水によく溶ける無色の気体。プラスチックの原料にも使われている。

カット工法

パネル交換の場合、1枚のパネルをアッセンブリー丸ごと交換するのではなく、必要な範囲だけ切り取って交換する方法のこと。クォーターパネルは、リヤピラーの部分で切り接ぎして交換するのが一般的だが、これも1種のカット工法である。しかし本来はもっと大胆な技術で、例えばリヤエンドのコーナー部だけが損傷したクォーターパネルの場合、損傷のあるリヤ側4分の1程度だけ切り取り、それに合わせて新品パネルを溶接するような方法である。ロッカーアウターパネルでも同じような方法がある。ヨーロッパでは、カット工法用の部分的な新品パネルも販売されているが、日本ではまだ一般的ではない。
溶接範囲が広くなりがちで、パネルをひずませないように溶接し、パネルの位置決めや防錆処理なども念入りに行なう必要がある。きれいに仕上げるには高度なテクニックが求められる。その代わりうまく行けば、交換のために脱着する部品も減り、作業時間の大幅短縮が可能になる。

金切りハサミ

金切りハサミできれいに薄い鋼板を切るには、ある程度の熟練が必要である。ボデーショップで働いている人の中でも、うまく使いこなすことができる人は少なくなったようだ。
どんな切り方をするかで、それに適した刃を持つハサミを選ばなくていけない。まっすぐな刃を持つ<直刃>は、直線や緩やかな曲線を切るのに使う。<柳刃>とも呼ばれる曲刃は、文字通り曲線を自由に切断するためのもの。もうひとつの<えぐり刃>は、刃先がワシのくちばしのように極端に曲がっていて、丸い穴を抜いたりするのに用いる。

仮止め

ボデー修正が終わった後、損傷したパネルを取り外して新品に交換する。このとき、いきなり新品パネルを溶接してしまえば、やり直しが効かなくなるので問題である。まず溶接用クランプなどで仮止めし、関係するボルトオンパネルを取り付けて、建て付けやパネルのすき間を確認する。それから溶接にかかるが、その場合もまずパネルがずれない程度に、要所要所だけ溶接して、もう一度外装パネルを合わせて確認する。それから本格的な溶接に入る。

ガラスナイフ

接着式ガラスを取り外すとき、接着剤をカットするための道具がガラスナイフである。接着剤に刃を食い込ますために使う取っ手と切断部を広げていくための取っ手があり、両手で使うのが基本。ごく普通の刃で切っていくのが<コールドナイフ>、刃に熱をかけて小さな力でも切れるようにしているのが<ホットナイフ>である。

切継ぎ交換

溶接パネルを交換する場合、端が他のパネルの下になっている、合わせ目の構造が複雑、損傷範囲が狭く全体を交換すると時間がかかる、などの理由で一部をカットして交換する場合がある。こうした交換方法を切り継ぎ交換と呼ぶ。クォーターパネルやロッカーアウターパネルの交換などでよく用いられる。切り継ぎ交換でカットする場所が切り継ぎ位置になる。どこでもいいというわけにはいかず、応力が集中しない場所、裏面に他の補助パネルがないような場所を選ぶ。カーメーカーのボデー修理書には、切り継ぎ範囲を特定している例がほとんどである。
切り継ぎには主にミグ溶接を用いる。切り継ぎ場所はつなぐパネルの間にわずかにすき間を残し、その間を埋めるように溶接する突き合わせ溶接と、片側のパネルの端を段付加工して、重ね合わせて溶接する重ね溶接の2通りがある。サイドメンバーやピラー類など、骨格パネルを切り継ぎ交換する場合は、重ね溶接する必要がある。ロッカーパネルやクォーターパネルは、突き合わせ溶接で交換される場合が多い。
いくらひずみの出にくいミグ溶接機でも、切り継ぎ部分を一気に溶接すると、やはり周辺にひずみが出やすくなる。まず両端、そして中央など、部分的に点状に溶接し、そのあいだを埋めていくように連続溶接するのが一般的である。

組付け

ボルト止めされているパネルや部品を取り付ける工程のこと。パネルの場合は隣り合うパネルとのすき間や段差を揃え、位置を合わせる。この作業は建て付け調整である。部品は、配線や配管を元通りに復元し、実際に機能するかどうか点検する作業も加わる。

クランプ

溶接するパネルをボデー側に仮止めするときに使うのが溶接用クランプである。溶接箇所はフランジであったり、懐の深い奥の方だったり、形状も様々である。また、すぐ隣のパネルも一緒に仮止めして建て付けの確認もしたいため、その邪魔になるようでは困る。そのため、溶接用クランプは多くの種類の形状のものが用意され、場所によって使い分けられる。一般に<バイスグリップ>とも呼ばれるが、これは本来商品名である。その他ウェルドクランプ、バイスクランプなどと呼ばれることもある。

クリップ

グリルやバンパーの装飾、トリム類の固定などには樹脂製のクリップがよく用いられている。<ファスナー>とも呼ばれるが、これはズボンのチャックやカバンの口についているものではなく、クリップと同じものである。
クリップは車種やメーカーによって、あるいは部位にもよって異なり、普通、同じ車でも3~4種類ぐらい用いられている。それほど脱着が難しいものは多くないが、時には知恵の輪のような複雑なものもあるから、力任せに引っ張るのではなく、ていねいによく見てから外すようにしたい。基本的には一度外したら再使用しないことになっているが、上手に外せば全部交換することもないだろう。しかし外すときに破損しやすいのも事実で、あらかじめよく扱うメーカーのクリップは、予備として在庫しておけばいいだろう。そんなに値段の張るものではないし、クリップ1個のために仕事が止まるのもばかばかしいからだ。

シーケンシャル制御

シーケンシャルとは「連続した」とか「ひと続きの」というような意味。つまり何かひとつのことだけではなく、いくつもの内容を連続してコントロールするような仕組みがシーケンシャル制御である。例えば壁のスイッチを入れると電球が点く。これは電球に電気を流すというひとつだけの仕事をするからシーケンシャル制御ではない。身近なところで考えれば、スポット溶接機の上級機種は、まず最初に高電圧を流して塗膜を焼き、次に大電流で溶接を行ない、その後電流を減らしていって溶接部を徐々に冷やすという工程が、最初にスイッチを入れれば自動的に進行する。このような段階的で連続した制御方法のことである。単純に決められた工程を繰り返すだけでもシーケンシャルには違いないが、それよりも各工程ごとにその結果などの情報がフィードバックされ、次の工程の条件を自動的にコントロールするような高度な制御方法がこう呼ばれる。

シーラー

いわゆるシーラー、シーリング剤は、様々な種類のものが入り交じって呼ばれることも多いが、基本的には液状のものがシーラー、粘度が高くカートリッジなどに封入されているものをシーリング剤として区別しておく。そして溶接で使うシーラーといえば、スポット溶接の合わせ目に塗る防錆シーラーである。多くは水性で、スポット溶接用に塗膜を剥がした部分に、水で薄めて刷毛塗りする。電気を通しやすい性質を持っているのが特徴で、他の防錆剤で代用しない方がいい。<スポットシーラー>などとも呼ばれる。

使用率

ミグやスポット溶接機など、変圧器(トランス)が中心的な役割を果たす機器では、連続して使い続ける(電気を流し続ける)と変圧器が熱を持ち、効率が悪くなってしまう。そのため、使っては休ませ、使っては休ませで、効率の良い状態をいいしなければいけない。実際に使用できる時間と休ませる時間の比率を示すのが使用率で、通常は%で表わされる。例えばスポット溶接機の使用率5%なら、通電0.2秒に対して休止時間が4秒必要ということで、言い替えれば、続けてスポット溶接するときは、最低1回ごとに4秒の間隔が必要ということになる。この程度の間隔なら、少なくともボデーショップの仕事については気にすることはないだろう。ある1カ所をはさんでから次の溶接点をはさむ時間ではない。関係あるのは電気が流れる時間だから、実際にはほぼ連続で作業できる。

スポットカッター

スポット溶接部を削るための専用のドリル刃のこと。一般的なドリル刃との違いは、先の形状で、一般のドリル刃は先が円錐状に尖っているが、スポットカッターは平らになっている。これは上板を貫いても、溶接されている下板を傷つけないようにするためだ。エアドリルなどに取り付けて用いるが、スポット削り専用のクランプ付きドリルがよく用いられる。中心の細い軸と回転するリング状のノコ刃が組み合わされた<ホールソー>もスポット部を削るために用いられる場合がある。これも単にスポットカッター、あるいはホールソータイプのスポットカッターなどと呼ばれる。ホールソーは、ホールソーでスポット部を削ると、リング状の刃の直径の分だけ上板が残り、後でグラインダーなどで削らなければいけない。下板を貫通する危険は少ないが、後処理の手間が増えるという具合になっている。

スポットドリル

スポットカッティングドリル、スポット専用ドリルなど、いくつかの呼び名があるが、刃の切れ込み深さが設定できて、下板を削ることなく上板のスポット溶接部だけを簡単に削ることができる特殊なドリルである。製品によって仕組みは少しずつ違うが、多くはクランプで溶接部を挟み、力を掛けると一定量だけ刃を送り出す構造になっている。従って、サイドメンバーとフードレッジの溶接部など、クランプで挟めないような場所には使えない。

スポット溶接

狭い範囲に大電流を集中させ、その時に生じる熱で金属を溶かし、同時に圧力を加えて行なう溶接のこと。詳しく言うと<電気抵抗スポット溶接>となる。
溶ける部分が外気に触れず、ごく短時間で溶接するため、錆が出にくく確実な溶接ができる。特殊なテクニックを必要とせず、条件が整えば溶接品質も一定し、作業速度も速い。新車ラインではほとんどの溶接部がスポット溶接で溶接されており、補修でもなるべくスポット溶接を中心に行なうことが望ましい。ただしボデーショップで利用できるスポット溶接機は、新車ラインのものに比べると容量が小さい(電流と加圧力が小さい)ため、溶接強度的には劣る。そこでスポット点数1~2割多めにすることで、強度を確保する方法がとられる。
スポット溶接機は、工場の動力電源(200V)をスポット溶接に必要な低電圧高電流に変換させる変圧器(トランス)、電気機を流す時間をコントロールする<スポットタイマー>、溶接する部分を挟み込んで圧力をかけ、電気を流す溶接ガンの三つの部分から構成されている。ボデーショップでは、変圧器とタイマーが一緒になって本体に内蔵され、溶接ガンと太いコードで結ばれているトランス内蔵タイプと、溶接ガンと変圧器が一体になって、本体はタイマーだけのトランス一体タイプが用いられている。内蔵タイプの溶接ガンは、圧力を加える構造だけなので比較的軽くて扱いやすいが、コードが太くて重く、長さに制約もある。一体型はその逆で、ガン本体は重いが、コードはやや太めの一般的な電気コードで、長さの制約もあまりない。内蔵型では電流の上限や通電時間をコントロールし、ワッシャ溶植や絞り、片面溶接も行なえる多機能形が中心になっている。また挟んだパネルに圧力を加える時に、人力ではなく圧縮空気の力を利用する<エアスポットガン>も利用されている。
スポット溶接は、加圧、通電、保持の3段階を経て行なわれる。まず加圧では、溶接ガンの電極(チップ)で溶接するパネルを挟み、圧力を加える。電極の付いているアームはテコの原理を利用した倍力機構が備わり、人の力だけでも大きな力がかかるようになっている。電極の細くなった先で圧力を加えられ、密着させられた金属(鋼板)は、その部分が電気を通しやすくなってり、大きな電流が流れる。この時の電流の大きさは、条件によって異なるが、新車ラインでは7,000~10,000A(アンペア)、ボデーショップでは3,0000~5,000A程度である。電気の流れる時間はほんの一瞬で、0.1~0.2秒ぐらい。電流が大きいので一瞬で高熱が生じ、パネル同士を溶接する。その後、溶接部の温度が下がるまでしっかり押さえつけた状態を維持すれば(保持)しっかりした溶接が完了する。
パネルを挟む力<加圧力>と電流の大きさ、溶接あとの小さなへこみ<ナゲット>の間には深い関係がある。いくら容量の大きい変圧器を用意しても、入力側に余裕がなければ、大きな電流は流せない。また変圧器と入力に余裕があっても、加圧力が小さければ、大電流は流れず、また加圧力だけを大きくしても、電源の容量が小さければ、やはり充分な溶接はできない。電流と加圧力のバランスが大切である。スポット溶接の状態はナゲットの大きさである程度判断できるが、実際には外から見ただけではわからないことが多い。

接合

パネルや部品類をつなぎ合わせるためには、<機械的接合>、<化学的接合><冶金的接合>の三つの方法が用いられる。機械的接合はボルトやナット、クリップ類を利用して接合する方法で、たいていは取り外しが簡単で何度も繰り返すことができる。化学的接合は接着剤を用いる方法で、自動車ではトリム類を除いて本格的に用いられることはまだ少ないが、溶接の補助的な利用はされている。
冶金的接合は、いわゆる溶接の仲間で、<圧接>、<融接>、<ろう接>の3通りがある。自動車関係で利用されている接合方法を中心にすれば、圧接はスポット溶接のように、母材(溶接するパネルなど)同士に圧力を加えて溶接する方法である。融接はミグ溶接や酸素アセチレン(ガス)溶接のように、母材と、母材と同質の溶接棒を、互いに溶かしながら溶接する方法である。ろう接とは、母材は溶かさず、母材より溶ける温度が低い別の材質の溶接棒(ろう材)を溶かしてつなぎ合わせる方法である。ろう材の溶ける温度が450℃以上が<硬ろう付け>で、一般にろう付けと言えばこちらの方になる。それ以下の温度で溶けるろう材を使う方法は<軟ろう付け>と呼ばれ、いわゆるハンダ付けのことになる。

タガネ

金属の切断などに使う鋼製の刃のついた工具で、ハンマーなどで叩いて使う。ただしボデーショップでは、刃幅の広いカゲタガネはプレスラインの打ち出し用に、細長い形状のものは溶接パネルの切り離しに用いることが多い。スポット溶接されたパネルは、スポット部をきれいに削り取っても、間にシーリング剤が入っていたり、そうでなくても長年ピッタリくっついているので、簡単には外れない。そこでパネルの合わせ目にタガネを打ち込んで溶接部を分離する。この時、スポット削りをていねいに行なっていれば、あまり抵抗もなく、スイスイ外れるが、削り方が不充分だと、引きちぎるようなことになり、残す方のパネルも傷付けやすい。時間もかかる。ていねいにスポットを削れば結局は短い時間で作業できるわけだ。なお、タガネは刃のある側(薄くなっている側)を残す方のパネルに当てて使うのが基本である。

建付け調整

ドアやボンネットなど、開口部をカバーする外装パネルは、スムーズに開閉できるよう、隣のパネルとの間にすき間が設けられている。このすき間の幅やパネルの表面の高さを揃える作業が建付け調整である。<チリ合わせ>、<フィッティング>とも呼ばれる。
この手のパネルの取り付けボルト穴はやや大きめになっていて、その範囲で調整することができる。ドアやボンネットと隣り合うフロントフェンダーも同じである。またロックの受け側も位置調整できる。これらの組み合わせで、パネル同士のすき間の幅、段差、上下のズレを揃えることになるが、あちらを立てればこちらが……という具合で、場合によっては非常に時間がかかることもある。また、修理後の仕上がりの評価は、この建付けが揃っているかどうかで判断されてしまうことも多く、ボデーショップにとっては重要な仕事である。以前は建付けが合わないときは、ボルト穴を拡大して無理矢理合わせるというような作業も行なわれたが、やはり所定の範囲で合わないときはボデー全体の狂いがまだ残っている証拠なので、改めてボデー修正に戻るべきだろう。なお、パネルのすき間は生産ラインの誤差が少なくなるにつれて、より狭くなっていく傾向にある。建付け調整の難しさは増えるばかりだ。

チップカッター

スポット溶接機の電極(パネルを挟む部分)は、何度も使っている内に溶けたり削れたりして丸くなってくる。溶接時に生じるガスや溶接滓がこびりついて汚れている場合も多い。実はスポット溶接では、この電極の先の形状が確実な溶接作業に影響する。パネルに当たる面が汚れていたり、面積が変化していると、流れる電気の量も変わって不充分な溶接になりかねない。そのため、電極の先は常に注意して形を整え、成形しておく必要がある。チップカッターは、電極の先を清掃し形を整えるための工具。電極で両側を挟み、一方向に回転させるだけで、電極のメンテナンスができる。

TIG(ティグ)溶接

TangstenInertGas溶接の略。つまりタングステンを電極にし、不活性ガスで溶接部をシールドする直流アーク溶接機である。ミグ溶接と似ているが、ミグ溶接の電極は溶接棒を兼ねていて、それ自身が溶けるようになっているが、ティグ溶接の電極は溶けないので、別に溶接棒を用意して作業する手溶接になる。シールドガスにはアルゴンを使い、ステンレスやアルミなどの溶接がきれいにできる。技術的にはミグ溶接よりも難しい。

トーチ

単にトーチといえば、酸素アセチレンガス溶接機のものを指すことが多い。塗膜はがしやろう付けは溶接用トーチ、切断は切断用トーチが使われる。ミグ溶接機の手持ちの部分もやはりトーチだが、一般的な使われ方はしない。

ドライバー

基本的なハンドツールのひとつ。プラスとマイナスは普通だが、先がソケットやヘキサゴン、トルクス形状のレンチになっているものもある。これらはドライバーの仲間になるのか、それぞれのレンチの仲間になるのか難しいところ。形の上からはドライバーの仲間だし、機能から考えると、レンチ類になる。
どの種のドライバーも、握る部分をグリップまたは柄、先がいろんな形になっている鋼棒をチップと呼ぶ。柄は木製またはプラスチック製が一般的である。チップの太さや長さ、プラスマイナスの大きさ、柄の形状などによって多くの種類が用意されている。柄の部分が特に太くて短いタイプは<スタッビドライバー>と呼ばれる。チップが柄の中を貫通していて、ハンマーで柄のお尻を叩くことのできるドライバーは<貫通ドライバー>である。これ以外のドライバーのお尻を叩いてはいけない。ただしハンマーで叩いて使うために用意されている<ショックドライバー>もある。これは通常のドライバーと形は異なるが、ハンマーで叩く力を回転力に変える機構も備わっており、固く錆びついたようなネジを緩めるときに便利。家庭用などで、グリップにラチェット機構が付いているものもあるが、もちろんその名は<ラチェットドライバー>という。便利そうだが、あまり大きな力をかけられないので、仕事用としてはお奨めできない。
ドライバーの正式な呼び名は<スクリュードライバー>である。しかしそんな呼び方をするのは、エアドライバーのふたつのタイプを区別するときぐらいだろう。圧縮空気を動力にするドライバーには、単に回転するだけのスクリュードライバーと、インパクトレンチのように、回転しながら衝撃力も加えて大きなトルクで締め緩めできる<インパクトドライバーの2種類がある。

ドリル

ボデーショップでよく使われているのは、圧縮空気を動力源にする<エアドリル>だが、一般的には電気ドリルがなじみ深い。充電式のドリル兼ドライバーは、一般家庭にも普及している。ドリルとドライバーの違いは締め付けトルクにリミッターがあるかないかである。つまりドリルは単に回転するだけでいいが、ドライバーなら締め付けが終わった時点で空転するような構造が組み込まれている必要がある。
ドリルはチャックがどのくらいの太さの刃(ビット)を挟むことができるかによって、様々な種類がある。ボデーショップでは最大径が6~10㎜程度のものが主に使用される。その他インパクトレンチのようにドリル刃に衝撃性を持たせたものあり、それらはインパクトドリルまたはハンマードリルなどと呼ばれる。

トルクレンチ

ボルトで固定される自動車部品のほとんどは、実はどのくらいの力で締め付けるのか、締め付けトルクがほぼ決まっている。だいたいの感じで支障ない部品も少なくないが、エンジンやサスペンション関係、ホイールナットなどは締めすぎても緩すぎても問題が出るので、締め付けトルクをきちんと管理しなければいけない。トルクナットはそのための工具で、締め付けていくと、締め付けトルクがメーターに表示されたり、あらかじめ設定しておいたトルクを越えると、空転して力が加わらないようになっている。本来はどんなボルトもトルクレンチできちんとトルク管理するのが正しいのだが、あまりそれは現実的ではない。しかしすくなくともエンジン、サスペンション、ホイールナットの締め付けはトルクナットを手放さないようにしたい。

パッチ当て

最近では少なくなったが、錆がひどくてパネルに穴が空いてしまった車を補修する場合やフェンダーミラーをドアミラーに変更するなど、比較的大きめの穴をふさぐ場合は、ステンレスや亜鉛メッキされた鋼板を穴の上に溶接して穴をふさぐ工法が用いられる。この作業がいわゆるパッチ当てである。いわばパネルの継ぎ当てである。継ぎを当てる部分をやや低めにハンマリングで変形させ、溶接はスポット溶接が用いられる。パテで継ぎ当て部を修正し、上塗りをかければ完成だが、どうしても後で錆が出やすくなる。そこで穴の大きさがそれほどでもない場合は、裏当てをしてグラスファイバーやアルミ粉末などの入った穴ふさぎ用のパテを使う場合も多い。

ハンダ

錫(すず)と鉛の合金がハンダで、<ソルダー>、軟ろう、白ろうなどとも呼ばれる。電気配線の接続に使うのが一般的だが、ボデーショップでは現在のプラスチックパテが普及する前はパテの代わりに、また、引き出し板金の足がかりなどにも用いられていた。
ハンダの性質は錫と鉛の比率で決まる。錫と鉛を1対1で合金にしたハンダが最も一般的で、鋼板などの接合に利用されるのはこれ。電線の接続には錫を45%、つまり少し減らしたものが利用され、パテ代わりに使われていたのは錫の比率を30~40%にしたものである。ハンダが完全に溶ける温度は錫の割合が多いほど低くなり、だいたい230~280℃の間になる。ただし溶け始める温度はどれもほぼ180℃になっている。この温度から完全に溶ける温度までの間は、ハンダは半流動状態になり、自由な形に成形できる。
金属の表面は酸化物で被われていることが多く、それがあるとハンダはうまく付着しない。この酸化物やその他の汚れを取り除いてハンダを金属になじませるのが<フラックス>である。フラックスはハンダ付けする金属によっていくつかの種類があるが、自動車のボデーに盛る場合は、ハンダの粉末を弱い酸性んお溶剤に溶かしたソルダークリームが利用されていた。ソルダークリームを鋼板に塗って加熱すると、溶剤の働きで表面の酸化物が除去され、ハンダの粉末が熱で溶けて鋼板表面に薄い皮膜を作る。ハンダを薄くメッキしたような状態になるわけだ。これによって盛りハンダが気持ちよく鋼板面になじむようになる。
ボデーの仕事でハンダを使うことはほとんどなくなったが、電気配線の接続にはハンダは欠かせない。接続部をハンダ付けしておくと、ハンダは毛細管現象で隅々まで入り込み、1本1本の銅線を薄くメッキしたようになる。つないだ配線が解れたり、錆で接触不良になる心配もなくなる。

パンチングツール

穴を開けるための工具のことである。ボデーショップでは、ミグプラグ溶接用に上板に穴を開けるために使われることが多い。その場合、穴の直径は8㎜程度が標準になる。手工具とエア式があり、エア式ではフランジ形成用のツールと兼用になっているものもある。もちろん作業速度はエア式が断然早い。

ハンドツール

圧縮空気を動力にするエアツール、電気を使う電動ツールに対して、あくまでも人間の力を元に、それを増幅するのがハンドツールである。ボデーショップでもエアツールがずいぶん増えているが、脱着用工具や一部の切断工具はハンドツールの占める比率が大きい。安価で扱いやすく故障もないからだ。
人の力を大きくする仕組みは、テコ、輪軸、リンク機構の3種類が多い。プライヤーやパンチングツールはテコの原理の応用で、レンチ類やドライバーなどは輪軸になる。リンク機構は溶接用クランプや切断・加工などのための特殊な工具類に用いられている。
ハンドツール、例えばレンチ類にも色々あって、同じように見えても価格は10倍以上の開きがある。あまり安価な製品は、先が開いたり、ボルトにしっかり食いつかず、結局は役に立たない。高級品だと同じスパナでも、安物で歯が立たなかったようなボルトを簡単に緩めることができる場合もある。また、欧米の「ブランド」工具は、多くが永久保証、つまり破損したり表面のメッキが剥げると無料で交換してくれる仕組みになっている。

ピッチ

間隔、間というような意味だが、脱着取替関係では、スポット溶接の間隔をいうことが多い。例えばロッカーパネルのフランジは、スポット溶接が一列に施されている。その溶接部の間隔がピッチになる。スポット溶接はパネルに電気を流して溶接するため、隣の溶接部と距離が短いと、電気が逃げて充分に溶接できない。そのため最低間隔は15㎜以上開ける方がいい。ただし間隔が広すぎると今度は強度が不充分になる。ASSYで交換する部品なら、溶接点数は新車時の1~2割増しと考えればいいが、切り継ぎ交換するサイドシルやピラー類は切り継ぎ位置によって溶接点数が変わってくる。そこでカーメーカーの発行するボデー修理書などでは、溶接点数をピッチで指定している例もある。

プラズマカッター

ここで言う<プラズマ>とは、イオン化した、つまり電気を帯びた粒子を含む気体のことで、気体を非常に高い温度に熱することで生まれる。プラズマ状態の高温のガスで切断作業を行なうのがプラズマカッターである。
プラズマカッターは、一見ミグ溶接機に似ているが、もちろん溶接ワイヤーが内蔵されているわけではない。プラズマ化する気体は圧縮空気またはアルゴンガスにわずかの水素を加えたもので、トーチの電極で発生する特殊なアーク放電の火花によって、ガスは最高4万℃の高速・高温のジェット噴流になり、鋼板などを溶かして切断する。このジェット噴流は非常に細く、高温なので一瞬で金属を溶かす。そのため熱の影響は周囲に広がらず、自由できれいな切断が誰にでもできる。

フランジ

スポット溶接などがされているパネルの端の細長い部分がフランジである。段差が付けられていたり、折り曲げて合ったり、いくつかの種類があるが、簡単にいえばパネルの合わせ代でもある。
溶接パネルの交換では、取り外すパネルはフランジ部分だけ残して先に切り取られてしまう。スポット部を削ったあとは、フランジだけタガネで外していけばいいわけだ。サイドシルアウターは、下側のフランジでインナーと溶接されていて、固定用クランプの取り付けに重宝する(防錆や空力的な理由でフランジのない車種もある)。切り継ぎ溶接で、片側のパネルの端に段差を付けて、重ね合わせて溶接する方法もある。突き合わせ溶接よりも強度が大きくなるので、骨格系パネルの切り継ぎ溶接には欠かせない。この時にパネルの端に段差を付ける工具が<フランジングツール>である。これもエア式と手動式が用意されている。

ヘミングツール

ドアアウターパネルの端は、インナー側を包み込むように折り曲げられている。その状態を修理で再現するのがヘミングツールである。修理コストを低減する目的で、ドアのアウターパネルだけを交換する方法が開発され、交換部品も用意されているが、残念ながらあまり普及しているとは言えない。ヘミングツールはドアアウターパネル交換のために用意された工具といってもいいだろう。少なくともボデーショップでは他の使い道はあまりなさそうだ。アウター側の折り曲げ加工は、ハンマーとドリーだけでもできなくはないが、ヘミングツールを使えば簡単に均一な加工ができる。ただしこれは仕上げ用で、ある程度の折り曲げはハンマーとドリーがなければできない。

ミグ溶接

ミグ溶接機は、自動送りされるワイヤーが電極となり、同時に溶接棒の役目も持つ。電流が断続的で、一定以上温度が上がらないため、薄板の溶接に適している。また溶接部をガスでシールドしながら溶接するため、錆や溶接不良も発生しにくい。シールドガスにアルゴンを使うのがMetalInertGas溶接、つまり<MIG(ミグ)溶接>、炭酸ガスを使うのがMetalActiveGas溶接、略して<MAG(マグ)溶接>だが、ひとまとめにしてミグ溶接と呼ばれることが多い。MIG溶接はアルミやステンレスの溶接も可能だが、MAG溶接は鋼板のみである。ボデーショップで一般的に使われるのは、炭酸ガスを使うMAG溶接機の方だが、溶接時に発生する不純物(<スパッタ>)を減らし、きれいな溶接に仕上げるために炭酸ガスにアルゴンを混ぜて利用されることもある。
ミグ溶接の方法には、連続的に溶接する<シーム溶接>とあらかじめ上になる鋼板に穴を開けておき、そこを埋めるように溶接する<ミグスポット溶接>または<プラグ溶接>と呼ばれる方法がある。本物のスポット溶接機が普及していなかった頃は、たいていのパネルはミグプラグ溶接で取り替えられていたが、熱によるひずみが出やすく、溶接跡が盛り上がり気味であとで研磨修正が必要になるなど、作業時間も増えるため、今ではスポット溶接機が使えないような場所や3枚、4枚重ねでスポットでは強度が出にくいような部分に用いられる。
ミグ溶接機の作業手順は以下のようになる。まずアースクランプをボデーのなるべく溶接部に近い場所に接続する。それからトーチを溶接部に近づけて(プラスチックのカバーの先端から10㎜程度)スイッチを押せば自動的に溶接が始める。ただし電気が流れて溶接できるわけだから、溶接する部分やアースクランプを取り付ける場所の塗膜ははがしておかなければいけない。溶接中はワイヤーが自動送りされ、シールド用のガスが吹きだし、アーク放電の火花が飛んでいる。溶接部分に沿ってトーチを動かすだけで、これらのことが自動的に行なわれる。<半自動溶接機>と呼ばれるのはそのためだ。ただし溶接している間中、ずっと火花が飛んでいるわけではない。コマ送り状態でみると、アーク火花が飛んだ時点でワイヤーが溶け、溶接部の金属とつながるため、アーク火花は一時ストップする。すると大きな電流がワイヤーを伝わって流れるため、磁気が発生し、それによって生まれた力(ピンチ力)がワイヤーを細く引き伸すように働く。その力がワイヤーを切断するため、再びワイヤーの先と金属の間には空間が生まれアーク火花が飛び始める。すると、その熱によってワイヤーが溶け、……。この繰り返しで溶接が進む。他の電気溶接に比べ、ミグ溶接が薄板の溶接に適しているのは、アークの火花が連続的ではなく断続的に発生しているからで、その原理は今述べたような仕組みになっている。
いくらミグ溶接が薄板に向いているからと言っても、漫然と端から端へ溶接していたのでは、やはり熱の影響が出る。そこで、まず両端、中央という具合に間隔を空けて3~4カ所を短く溶接する。次にその間、その次にまたその間という具合に、少しずつ溶接部を伸ばしていき、最終的に全部つながるようにする。こうした溶接方法は<タック溶接>とも呼ばれる。

メタライジング

塗料ではなく、溶かした金属を吹き付けて、主に錆を防ぐ技術のこと。日本語で言えば<金属溶射>である。広い範囲を短時間で確実に防錆処理できるのが特徴だが、やや大げさな仕事になるので、補修関係では古い車のレストア(再生)などで用いられている。
鋼板のメタライジングには、主に亜鉛にアルミニウムが少量加えられた合金が用いられている。亜鉛合金は直径3㎜程度のワイヤーにして利用される。メタラジング用のスプレーガンは、酸素とアセチレンガスの燃焼や電気のアーク火花による高熱で亜鉛のワイヤーを溶かし、圧縮空気の力で塗装のスプレーガンのように溶けた亜鉛合金を吹き付ける。吹き付けられる側の鋼板は、多くはサンドブラスターでそれまでの錆をはがすと共に、亜鉛合金が付着しやすい状態にされている。
吹き付けられた亜鉛合金は、すぐに冷えて鋼板表面に30~50ミクロンの膜を作る。通常の鋼板が亜鉛メッキ鋼板になったわけだ。気になる鋼板の温度上昇も50℃程度にとどまるため、薄板でも熱で変形する心配はない。
メタライジングで発生するガスは、人体に非常に有毒であり、吹き付けるのは高温の金属である。作業には完全防備で当たりたい。服装はやや厚めのつなぎで皮膚を露出しないこと。また顔面を完全にカバーし、呼吸用のきれいな空気をマスクに送るエアラインマスクが必要になる。

溶接

接合方法のひとつとしての溶接は、文字どおり接合するもの(<母材>)同士を溶かしてくっつける方法である。カタカナでは<ウェルディング>。
溶接には様々な方法があるが、ボデーショップではミグ溶接とスポット溶接が、主に骨格系パネルの交換用に利用される。酸素とアセチレン使うガス溶接は、ボデーパネルような薄い鋼板溶接するには高度な技術が必要になり、あとで錆なども出やすいため、原則として使ってはいけない。
パネル交換の溶接では、<重ね溶接>と<突合わせ溶接>のふたつの方法が用いられる。重ね溶接はスポット溶接やミグプラグ溶接のようにフランジ部を重ねて溶接する方法と、フランジ部以外でも片側をフランジ加工して重ねて溶接する方法がある。突き合わせ溶接は、文字通りパネルの端と端を向かい合わせにして溶接する方法で、端同士はピッタリ合わせるのではなく、溶接棒の直径と同じぐらいかやや広めに間を空けるのがポイントになる。
溶接作業では、むき出しの炎や大きな電流、強い光を扱い、溶けた金属が飛び散る恐れもある。また、溶けた金属から有毒なガスが発生する場合もあり、ボデーショップの仕事の中では危険な作業のひとつだ。肌を露出しない服装で、強い光や溶けた金属から目や顔を守る溶接面を着け、長時間にわたる場合は防毒マスクも必要である。作業中の車に対しても、溶けた金属が飛んでも大丈夫なように、関係ない部分は溶接用シートでカバーするなど、よけいな仕事を作らない工夫をしたい。

溶接ガン

髪の毛を乾かすドライヤーの能力の大きなもの、と考えればそれに近い。<ヒーティングガン>、<熱風溶接機>などと呼ばれ、プラスチックの補修に用いられる。
溶接ガンは250~350℃の高温熱風を吹き付け、プラスチックを溶かす。作業方法は、プラスチックのワレや傷をV字型の谷間に成形し、素材に合わせた溶接棒を溶かして、谷間を埋めていく。金属の溶接と違い、溶接棒を完全に溶かしてしまえば強度が落ちるため、一部を溶かしながら接着していくような感じになる。

リベット

日本語では鋲(びょう)。溶接や接着剤の進歩で、接合用に使われることは少なくなったが、モールディングやトリムの固定に、車種によっては一部利用されている。熱や溶剤を嫌うような素材では、ビスやリベットの出番になるわけだ。自動車に使われているリベットを鋲(びょう)と呼ぶのは大げさだが、原理的には同じである。リベットを打つには<リベッター>と呼ばれる専用の道具を使う。リベットが内蔵されていて、ちょうどホッチキスを打つような感覚で、簡単にリベット打ちできる。

レンチ

基本的なハンドツールのひとつ。ボルト・ナットを締め緩めする道具で、これのない自動車工場なんて考えられない。ボルト・ナットを締め緩めする工具にはレンチの他<スパナ>もある。違いはスパナが2面でボルト・ナットの頭をはさみ、そのはさみ幅がある程度固定されているのに対し、レンチはリング状の内側に通常は12面の角があり、6角ボルトの頭全体に力をかけられるようになっている。またそうでなくても、はさみ幅を自由に変えられるものがレンチと呼ばれる。元々はどちらも同じ意味の外来語だが、イギリスではスパナ、アメリカではレンチという言葉が主流になっていて、どちらから入ってきたかで呼び名が違っているのが本当の所だ。
レンチには様々な種類がある。一般的なものなら、バーの両側に異なるサイズのレンチが付いた<メガネレンチ>、片側がスパナもう一方は同寸のレンチになっている<コンビネーションレンチ>、ボルトやナットに被せるようにして使う<ボックスレンチ>、ボックスレンチが十文字のバーの先に付いた<クロスレンチ>、ボックスレンチと同じ形状だが、回すためにはアタッチメントを差し替えて使う<ソケットレンチ>、ラチェット機構付きで回転方向が決まっている<ラチェットレンチ>などがある。ちょっと変わったところで、長いボルトが突き出ているナットを回すためには、ソケットレンチの懐の深い<ディープソケットレンチ>、パイプを接続しているナットを回すためには、レンチのリング状の一部が切れている<オープンレンチ>または<フレアナットレンチ>が便利である。 はさみ幅が変えられるレンチの代表は<モンキーレンチ>である。2面でボルトの頭をはさむのはスパナと同じだが、幅を変えられるのでレンチの名前が付いている。
<ウォーターポンプレンチ>は、レンチというよりプライヤーの大きなやつで、ボデーショップの仕事にはあまりなじみはない。形がある怪獣の顔に似ているので、その怪獣の名前をとってアンギラスとも呼ばれている。
<パイプレンチ>は、ボルトやナットではなく、パイプをつかんで回すために使う。やはりはさむ幅、というより直径を変えられるためにレンチの名前が付いているが、自動車工場より水道工事などで使われることが多い。
一般的なレンチのイメージとは似ても似つかない形をしているのが<ヘキサゴンレンチ>。六角形の棒をL字型に曲げた形で、頭のないヘキサゴンボルトの締め緩めに使う。これはボデーショップにもお馴染みである。ソケットレンチのアタッチメントに取り付けて使うヘキサゴンレンチもある。まだまだレンチの種類は多いが、名称は製造メーカーや発売元が独自につけているため、この辺りにとどめる。

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